「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(以下「食品リサイクル法」)においては、同法第3条及び「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律施行令」第3条の規定に基づき、概ね5年ごとに「食品循環
資源の再生利用等の促進に関する基本方針」を定め、食品循環資源の再生利用等を総合的かつ計画的に推進することとされています。
前回の見直しから5年が経過している状況のなか、食料・農業・農村政策審議会食料産業部会食品リサイクル小委員会及び中央環境審議会循環型社会部会食品リサイクル専門委員会は、合同会合を開催し、食品リサイクル法の施行状況の点検等に係る審議を行い、2024年 12 月に「今後の食品リサイクル制度のあり方について」を取りまとめました。
本報告書を踏まえ、合同会合にて取りまとめられた「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針(案)」について、パブリックコメントが行われていましたが、それが終了し、3月14日に告示されました。
基本方針のポイント
>資料1 食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針案のポイントより
Ⅰ 発生抑制
1 事業系食品ロスの削減に係る目標
(1)事業系食品ロスの削減目標(2030年度までに半減)を2022年度に達成。
(2)食品ロスの発生実績の趨勢を基本とする予測に加えて、今後の食品ロス削減に向けた取組の拡大余地や新型コロナウイルス感染症の影響やその間に起きた消費者の行動変容等を踏まえ、2000年度比で2030年度までに60%削減とする目標を新たに設定。
(3)新たな目標の達成には、食品関連事業者による取組の推進とともに、消費者の理解や取組が鍵であることから、国、地方公共団体、食品関連事業者、消費者等の様々な関係者が連携して、サプライチェーン全体で推進する必要。
(4)食品の種類や業種等によって、食品ロス削減の余地が異なるとともに、サプライチェーンが一体となって取り組む必要があることから、サプライチェーン全体の目標とする。
2 食品関連事業者の食品ロス削減の取組促進
食品関連事業者は、食品廃棄物等の発生の抑制を実施するに当たっては、主として次に掲げる措置を講ずる。(省令改正)
(1)未利用食品等まだ食べることができる食品を、必要な食品を十分に入手することができない者に提供するよう努める。
(2)賞味期限の表示方法について、年月表示等による工夫を行うよう努める。
(3)食品の特性に応じて製造又は加工の日から賞味期限までの期間を延長するよう努める。
(4)食品の販売を行う食品関連事業者は、納品期限の緩和、発注を早期に行う等、取引先の食品関連事業者における食品廃棄物等の発生の抑制の円滑な実施に資する措置を講ずるよう努める。
3 食品関連事業者の取組の開示強化
(1)食品関連事業者は、未利用食品の提供量等の情報を有価証券報告書、統合報告書やインターネットの利用その他の方法により提供するよう努める。(省令改正)
(2)国民にとってわかりやすい情報発信とするため、食品関連事業者の発生抑制等の取組を適正に評価する仕組みを検討。検討に当たっては、取り扱っている食品の特性等により発生抑制や再生利用の実施しやすさが地域や業種ごとに異なる点に留意し、優良事業者の公表を基本的な方策とする。
Ⅱ 再生利用等
1 再生利用等の実施率に係る目標(2029年度までの目標値)
(2)食品製造業は既に一定以上の取組が進められていることから目標(95%)を据え置く。
(3)直近の実績と2024年度目標がかい離している食品卸売業及び外食産業については、目標(それぞれ75%,50%)を据え置いた上で、再生利用等の促進のために取組を一層推進することとする。
2 再生利用等の推進施策
(1)国が優良事例等の情報等を地方公共団体に提供することを通じ、関係者との連携を促進する。(自治体支援)
(2)特に年間の食品廃棄物等の発生量が100t未満の事業者の再生利用等実施率が低いことから、事業者の意識向上のため、食品リサイクルに関する情報発信を強化する。(情報発信)
(3)登録再生利用事業者制度の認知度を高め、再生利用等に着実に取り組む登録事業者の増加につなげる観点から、登録再生利用事業者制度の活用促進を検討・実施する。(リサイクル事業者の確保)
(4)地方公共団体、食品関連事業者、再生利用事業者等の連携による、食品廃棄ゼロエリアの創出等を通じた先進的事例の構築・周知を行う。(関係者の連携強化)
(5)特に外食産業においては、再生利用等の促進のため、優良事例の研究や食品循環資源の再生利用の意義、外食の発生抑制に係る取組事例等を内容とするマニュアルの普及や関係者との連携強化等を行う。(外食産業の取組)
スケジュール
【告示日】2025年3月14日
出典
〇e-GOV>食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について