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環境関連法他パブリックコメント

パブコメ「水質汚濁に係る環境基準」「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準」の一部改正案について

環境関連法他
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「水質汚濁に係る環境基準についての一部を改正する告示案」及び「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準の一部改正案」について、パブリックコメントが行われています。(2024年10月15日~11月14日)

閉鎖性水域では、これまでの対策により、流域からの汚濁物質の流入負荷が減少傾向にあり改善されている一方で、環境基準であるCODの高止まり水産資源への影響等の問題が発生しています。これを受けて、2024年9月に、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会生活環境の保全に関する水環境小委員会において、水域の状況に応じたきめ細かな水環境管理、汚濁負荷の削減が進んだ湖沼・閉鎖性海域におけるCODの妥当性について検討が行われました。

その結果を踏まえ、「①適時適切な類型の見直し」、「②「利用目的の適応性」に係る水浴の見直し」、「③季別の類型指定」、「④CODの達成評価」に関し、水質汚濁に係る環境基準値などを定めた「水質汚濁に係る環境基準について」(以下「告示」という。)、環境基本法における水域類型の指定、水質汚濁防止法における常時監視等に関する事務処理基準を定めた「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準」(以下「事務処理基準」)の改正が行われることとなりました。

改正にあたり、以下を対象とするパブリックコメントが実施されます。

【別紙1】水質汚濁に係る環境基準について(案).pdf
【別紙2】環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準(案).pdf
【別紙3】水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて(第3次報告案).pdf

 

改正案の主な内容

●【概要】水質汚濁に係る環境基準について及び事務処理基準改正.pdf
●【参考】地域のニーズや実情に応じた生活環境の保全に関する水質環境基準のあり方、柔軟な運用について.pdf

1.「利用目的の適応性」に係る水浴の見直し案

環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準のうち、「生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)」は、「水質汚濁に係る環境基準について」(以下「告示」)により、公共用水域(河川・湖沼・海域)の別に、それぞれいくつかの類型に分けての設定されており、個々の水域ごとに「利水目的」等を勘案して水域類型が当てはめられ、類型に応じた基準値が設定されています。
※類型は、河川6類型(AA~E)・湖沼4類型(AA~C)・海域3類型(A~C)が指定されています。

水域類型の「利用目的の適応性」の一つに「水浴」が位置付けられており、水域内の一部に水浴場があることをもって、その水域全体に「水浴」を適用し、上位類型(厳しい環境基準が適用される類型)が指定されている例がありますが、水域全体の水質と水浴場で求められる水質は必ずしも一致していません。

また、日本では、pH、BOD、COD、SS、DO、大腸菌数、全窒素、全燐、N-へキサン抽出物質(油分等)が設定されていますが、諸外国での水浴又はレクリエーション用途に係る基準では「大腸菌数」を採用しているものが多くを占めています。

このことから、以下の通り、各類型から「水浴」の利用用途を除外し、「水浴」については、備考欄に「大腸菌数」を適用する旨を規定することとされました。

  • 告示別表2を改正し、利用目的の適応性から「水浴」を削る。【告示改正】
  • いずれの類型においても、水浴を利用目的としている測定点(自然環境保全及び水道1級を利用目的としている測定点を除く)については、大腸菌数300CFU/100mL 以下とすることを備考欄に規定する。【告示改正】

(出典)環境省,令和6年9月「地域のニーズや実情に応じた生活環境の保全に関する水質環境基準のあり方、柔軟な運用について」

 

また、「水浴」の定義は遊泳に限らないことを示す必要があることから、以下を「事務処理基準」に規定することとなりました。

  • 「水浴」とは、広く水の経口摂取の可能性が高い活動として、水との触れ合い、水域でのスポーツ、レクリエーションなど水に触れる利用を幅広くいう。【事務処理基準】

 

2.「事務処理基準」の改正案の主な内容

(1)適時適性な類型の見直し

水質が改善された一方で、窒素・リンの濃度低下(栄養塩類濃度低下・貧栄養化)による生態系や水産資源への影響(ノリの色落ち等)が指摘されており、一部の地域では栄養塩の供給に関するニーズがあります。

水域類型は、水域の利用目的の変化に合わせて適宜見直すことが規定されていますが、このようなニーズに対応すると、「現状非悪化」(当該水域の水質が現状よりも少なくとも悪化することを許容することのないよう配慮すること。)の規定により、現在の水域類型よりも基準値の高い(基準値の緩い)類型に変更することとなり、現状非悪化に反するとの懸念により、適切な類型への見直しが行われない状況が発生しています。

このような状況を受けて、以下の通り、水域類型を基準値の高い類型へ見直すことも、地域の実情に応じた適切な類型の見直しであることを明示するための改正が行われます。

  • 類型指定の見直しについて、水質汚濁の状況や利用目的の実態、科学的知見等に応じて、地域関係者と協議をした上で、柔軟に水域類型の指定及び適宜適切な見直しを行うこととする。この際、地域の利用の態様に合わせて適切に水質を管理するために類型を見直す場合は、「水質の悪化を許容すること」には当たらないことに留意することとする。なお、類型の見直し後は影響把握のため適切な時期に必要な情報を把握・評価を行うこととする。

 

(2)季別の類型指定

上記(1)の通り、窒素・リンの濃度低下による生物への影響が指摘されており、栄養塩供給に関するニーズがある一方で、窒素・リンの供給過多による富栄養化への懸念も存在しています。

このような様々な地域のニーズに柔軟な対応ができるよう、以下の通り、COD・全窒素・全燐において「季別の類型指定の選択が可能あること」を規定する改正が行われます。

  • 類型指定の必要性の判断等について、地域の実状に応じて、類型区分された同一の水域において、月単位で区分して季別に類型を指定することができることとする。

 

(3)CODの達成評価

流入負荷の削減対策を実施してもCODの改善が見られない(外来由来の可能性・内部生産の可能性)、COD環境基準非達成であるが利水障害は継続的に発生していない、CODのさらなる削減は地域ニーズに適さない(ノリの色落ち、かきの餓死や身入り不良等)などの実態があります。

このような背景から、有機汚濁を主因とした利水上の支障が継続的に生じていないにもかかわらず、CODが基準を達成しておらず継続的に汚濁負荷削減が求められてしまうような場合、利水上の地域ニーズに応じて類型指定された水域区分ごとの達成・非達成の評価を行わないことを可能とすることが規定されます。

  • 常時監視の実施に当たって、測定結果に基づき水域の水質汚濁の状況が環境基準に適合しているか否かを判断する場合、湖沼(AA類型又はA類型の水域に限る。)又は海域(A類型又はB類型の水域に限る。)において、各類型の利用目的に対して、現に支障が生じていないCODの環境基準の水域区分では、CODの環境基準の達成状況の年間評価は必ずしも行わなくてよいものとする。

 

スケジュール

【意見公募】2024年 10 月15日~2024年 11 月14日
【公布】2024年12月下旬(予定)
【施行】2024年12月下旬(予定)

出典

○e-GOV>「水質汚濁に係る環境基準について(昭和46年12月環境庁告示第59号)の一部を改正する告示案」及び「環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準(平成13年5月付け環水企第92号環境省水・大気環境局長通知)の一部改正案」に対する意見の募集について

○生活環境の保全に関する水環境小委員会(第1回)議事次第・配付資料

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