厚生労働省医薬局では、近年、毒物及び劇物の指定又は除外の検討に当たり、以下の問題点が顕在化してきているそうです。
・吸入試験・経皮毒性試験実施の要否の基準がない。
・「毒物劇物の判定基準」の2(1)②のベンチマーク化合物の記載が混乱を招いている。
また、毒物及び劇物の指定又は除外の判断に当たっては、最新の OECD ガイドライン等との整合性を考慮して検討を行う必要がある。
そこで、現在の「毒物劇物の判定基準」について、最新の OECD ガイドライン等との比較検討を行い、上記問題点を加味した上で、改定案が作られ、パブリックコメントが行われています。
改定案の概要
1)「毒物劇物の判定基準」の「1.毒物劇物の判定基準」に係る改定
・全身急性毒性と局所毒性の判定基準が明確になるように、動物の知見に関する記載を全身急性毒性と局所毒性に分割。
・原体の急性毒性の判定基準(判定基準値1)と製剤について知見がない場合の「判定基準値2」との関連性を明確化。
・全身急性毒性の判断において参考とすべき項目に、「その他の試験で保健衛生上の有害性が認められる場合」を追記(その他の内容を具体化)。
・局所毒性に関する判定基準を皮膚に対する腐食性と眼等の粘膜に対する重篤な損傷に分けて記載。さらに代替法による評価法をそれぞれに追記し、局所毒性に関する判断基準を明確化。
・動物試験免除の基準の記載について、OECD のガイダンスドキュメントに基づき、経口毒性試験、経皮毒性試験、吸入ばく露試験の場合について、新たに追記。
・原体の急性毒性の判定基準(判定基準値1)と製剤について知見がない場合の「判定基準値2」との関連性を明確化。
・全身急性毒性の判断において参考とすべき項目に、「その他の試験で保健衛生上の有害性が認められる場合」を追記(その他の内容を具体化)。
・局所毒性に関する判定基準を皮膚に対する腐食性と眼等の粘膜に対する重篤な損傷に分けて記載。さらに代替法による評価法をそれぞれに追記し、局所毒性に関する判断基準を明確化。
・動物試験免除の基準の記載について、OECD のガイダンスドキュメントに基づき、経口毒性試験、経皮毒性試験、吸入ばく露試験の場合について、新たに追記。
2)「毒物劇物の判定基準」の「2.毒物劇物の製剤の除外に関する考え方」に係る改定
・全身急性毒性と局所毒性を分け、製剤の除外に関する考え方を記載。
・除外する製剤について、劇物の最も大きい急性毒性値(LD50 又は LC50)との差が 10 倍以上である場合は除外可能という考え方は、10%以上の製剤を除外する場合に原体よりも厳しい条件を課すことになるなど、整合がとれないルールであることから、当該ルールを見直し。
・皮膚、粘膜に対する刺激が強いために劇物に判定された物の製剤を除外する場合に、劇性のベンチマーク化合物として記載されていた例示(10%硫酸、5%水酸化ナトリウム、5%フェノール)について、代替法を用いた試験結果判定時に誤った解釈を招くことから削除。
・製剤について知見が無い場合の除外のうち【判断基準値2】について、わかりにくい記載であったことから記載を整備
・除外する製剤について、劇物の最も大きい急性毒性値(LD50 又は LC50)との差が 10 倍以上である場合は除外可能という考え方は、10%以上の製剤を除外する場合に原体よりも厳しい条件を課すことになるなど、整合がとれないルールであることから、当該ルールを見直し。
・皮膚、粘膜に対する刺激が強いために劇物に判定された物の製剤を除外する場合に、劇性のベンチマーク化合物として記載されていた例示(10%硫酸、5%水酸化ナトリウム、5%フェノール)について、代替法を用いた試験結果判定時に誤った解釈を招くことから削除。
・製剤について知見が無い場合の除外のうち【判断基準値2】について、わかりにくい記載であったことから記載を整備
3)その他
・「毒物劇物の判定基準」により、毒物及び劇物取締法上、毒物又は劇物に該当する物を、自己判断で該当しない物と見なす事業者が見受けられることから、「薬事審議会における審議の参考とするものである」旨を追記。
・本文中の記載内容を精査し、適切な位置に移動。
・その他、形式面における所要の記載整備を行う。
・本文中の記載内容を精査し、適切な位置に移動。
・その他、形式面における所要の記載整備を行う。
スケジュール
【パブリックコメント】2024年12月28日~2025年1月27日